看護師不足に向けた対策とは

2025年問題とは、人口の多い団塊の世代が2025年に後期高齢者となり、一気に医療費や社会保障費の支出が膨らむ懸念を指します。医療現場で働く看護師にも、2025年問題は大きな影響を及ぼすでしょう。診療を受ける後期高齢者が増えることにより、看護師の負担も増大すると予想されるからです。すでに深刻な看護師不足が問題の医療現場では、さらに看護師の負担が大きくなるとますます離職者が増える悪循環が加速しかねません。

こうした問題を解決するため、看護業務の効率化や労働環境の改善といった対策を講じることが重要です。具体的には、看護師1人が患者1人を担当するプライマリーナーシングから複数の看護師が患者1人をケアするチームナーシングに移行し、看護師の業務負担を減らします。また、短時間正規雇用という労働形態を認めて、看護師の待遇改善も欠かせません。そして、ワークシェアリングを進めて看護師が専門の分野に特化した業務に専念できれば、雑用に振り回されて看護師が疲弊する問題も解消できるでしょう。

認定看護師や専門看護師が持つ現場指揮の権限を強め、看護師のモチベーションを高める工夫も大切です。夜勤専門看護師の処遇も向上させて夜勤専門看護師の希望者が増えれば、日勤常勤の看護師を雇用する余裕も生まれて子育て中や家族の介護に忙しい看護師も働けます。さらに、有資格者でありながら医療現場を離れている潜在看護師のうち、復職を望む者に対して無料の就労支援を積極的に施し、職場復帰を促すことも求められるでしょう。